切断

 
クイズ・慢性創傷の生物学
創傷の治療中、目の前にある傷への注意に集中しすぎて細胞レベルでは何が起こっているか忘れてしまうことはありませんか?
クイズで知識の再確認をしてみましょう。
問1 慢性創傷の典型的な特徴でないものは次のうちどれか?
A. マトリックスメタロプロテアーゼ組織阻害物質(TIMP)量の低下
B. 増殖因子と受容体部分の量の低下
C. 炎症性サイトカインの量の低下
D. マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の量の増加
E. 基質(マトリックス)欠乏状態
問2 慢性創傷ではこの生物的要素の過剰状態が新しい細胞外基質分解し、上皮移動を妨げる。
A. マトリックスメタロプロテアーゼ組織阻害物質(TIMP)
B. マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)
C. 血小板由来増殖因子
D. ヒアルロン酸
E. エラスチン
問3 線維芽細胞の非統制活動は、これの不足によって起こり、瘢痕形成につながる。
A. 炎症性サイトカイン
B. マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)
C. 増殖細胞
D. 細胞外基質
E. 細胞配列
問4 治癒を遅らせ、被覆剤の交換の合間に溜まる薄い膜のフィブリンと変性たんぱく質はこう呼ばれている。
A. 細菌バーデン
B. 細胞外基質
C. バイオバーデン
D. 壊死バーデン
E. 痂皮
問5 炎症反応の制御と強度に必要な化学的伝達物質は次のうちどれか?
A. サイトカイン
B. マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)
C. マトリックスメタロプロテアーゼ組織阻害物質(TIMP)
D. 好中球
 
 
創傷ケアケーススタディ:膿疱性皮膚炎
黄色ブドウ球菌による膿疱性皮膚炎のケーススタディを紹介します。
プレゼンテーション
コントロール不良のインシュリン依存性糖尿病の51歳ヒスパニック系女性。左足に潰瘍あり。
1ヶ月前に虫刺されに似た軽く痒みを伴うエリマトーデス皮疹を発症し、それが次第に拡大して破裂、潰瘍となる。
それから数日間で潰瘍の発赤、腫脹、皮膚の緊張は増し、膿がでるようになった。コンサルに来院する2 週間前
に患者は発熱と悪寒で1 日入院。退院時経口のlevofloxacin とclindamycin を処方され、毎日の洗浄とドレッシン
グ交換を指示された。
患者は1987年にインシュリン依存性糖尿病と診断され、それ以降インシュリン注射と数種類の血糖降下剤を投
与されている。しかし異常な血清グルコース値が示すとおり血糖コントロールは悪い(136-374mg/dL。正常値は
65-115mg/dL)。患者は以前2003年11 月にも入院しており、そのときは発赤、疼痛、腫脹を伴う右下肢前面の
潰瘍があった。患者は平熱で白血球数も6000 と正常だった。しかしながら血液培養の結果Oxacillin に感受性の
ある黄色ブドウ球菌が検出された。そしてclindamycin とlevocloxacin が投与され、4 日後に著明な改善が見られ
たため退院した。
患者は脛部、腕、臀部、腋など身体の様々な部分に膿胞やかぶれを頻繁に発症している病歴があり、時には
その治癒後色素沈着を起こしている。
身体所見
身体所見の結果は平熱、肥満、ヒスパニック系女性。頭部、頚部、胸部、腹部、背部、上肢は正常範囲内で、リン
パ節腫脹は無し。皮膚の検査では左足前部下方に2cm の輪郭が明瞭な深い潰瘍(図1)があり、漿液性の膿が
認められる。潰瘍部は厚く粘着性の硬化した壊死の皮膚と混ざった黄色いフィブリンで顕著に覆われている。
潰瘍の縁は硬化して紫色になっており、紅斑に囲まれている。幾つかの硬化状になった色素沈着があり、直径約
1.5~2.5cm、両足に顕著に見られる(図2)。仙骨部や左腋窩部にも同様の色素沈着は見られるがそれほど顕著
ではない。右上腕部には乾燥した3mmの膿胞あり。
図1 図2
 
 
糖尿病性足病変への関心が高い米国では、毎年幾種類もの関連学会が開かれています。2010年3月にロサンゼルスで糖尿病生足病変学会が開催され、参加しましたので、その内容を皆様にお届けします。
いかにもハリウッドホテル!会場であるホテルのイベントホールへ向かう途中では屋上プールがあり、セレブな方々がくつろいでいました。その横を、背広姿で通りすぎてゆくカンファ参加者たち。このギャップもまたアメリカらしいです。ここに30以上の国々から900人もの足病に関わる方々が集まりました。
会場に辿り着く前にモールの上部通路でも・・・カリフォルニアでは背広姿で買い物をすることはあまりありません。そのせいか、私を含めいろいろな方々がモール内で不協和音をかもしだしていました。そしてやはり暑い!3月だというのに30度近くありました。
それでも、一歩ホール内に入れば一瞬にして世界が変わります。足病に関わってきた錚々たる面々が順番に紹介されてゆきます。やはり下肢救済を目標の一つとして掲げているだけあり、紹介の間も今の厳しい現状をいかにして改善するか等の議論があちらこちらから聞こえてきました。
かくしてカンファレンスが始まりました。やはりさまざまな分野からのアプローチで糖尿病性足病変と向き合っています。おおむね真面目な先生方が演説をしていらっしゃったのですが、演題中に体で表現するお茶目な先生もいらっしゃいました。
このカンファレンスの特徴として、下肢救済に大きく貢献した方に贈呈されるEdward James Olmos Awardがあります。この賞は画期的な手術方式を発案したり、重大な発見をした方に毎年送られます。
今年はWarren S. Joseph足病医に贈呈されました。
Joseph氏は感染対策の活動をしており、米国最大の足病医療誌Journal of the American Podiatric Medical Associationの編集者であり、Handbook of Lower Extremity Infections
の著者でもあります。
また、次年度の受傷候補者はすでに発表されています。血管外科医であるJoseph Mills, Sr.氏は、血管外科学会と足病医療学会の協力を助け、下肢救済を大きく推し進めました。また、米国中で使用されている血管外科の医療書の著者でもあり、各分野で注目されている先生です。
演題やシンポジウムは多分野に渡り、最近日本でも話題になっている治療法等も紹介されていました。
 
Warren S. Joseph足病医
Joseph Mills, Sr.MD
 

 

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