治らない傷

うっ帯性皮膚炎
足首あたりの皮膚が少し茶色くなって、足がいつもむくんでいるけれども、どうしたら
いいかわからないことはありませんか?
こんな症状がずっと続くようなら、うっ帯性皮膚炎かもしれません。
原因:
うっ帯性潰瘍は慢性の皮膚炎で、静脈の高血圧が続き、慢性静脈不全が起きている人に
みられます。また、手術をした下肢の静脈が上手く働いていない人にも起こります。
うっ帯性皮膚炎は慢性静脈不全の最初に起こる症状で、静脈性皮膚潰瘍(=静脈うっ帯
性潰瘍=うっ帯性潰瘍)などの前段階の症状といえます。
症状:
足にむくみが見られ、皮膚は光沢をおび、茶色の色素沈着がみられます。
ひどい炎症がある場合は黄色くて透明な液が部分的に足からしみ出てきているかもしれ
ません。
治療法:
弾性ストッキングをはくというのがひとつです。
弾性ストッキングは圧が30mmHg-40 mmHg(ミリハーゲ)が医療的効果があるとい
われています。薬局などで売られている弾性ストッキングは圧が少し弱くhPa(ヘクト
パスカル)で圧が示されていることが多いです(1.33hPa=1mmHg)。
 
 
うっ帯性皮膚炎の足
典型的な「シャンパンボトル」型
静脈性皮膚潰瘍
うっ帯性皮膚炎が悪化すると
皮膚潰瘍になる可能性がある
 
 
湿潤(しつじゅん)治療とは?
子供の頃すり傷ができると「乾燥させたほうがいい」と言われた経験はありせんか?
傷の治療の考え方は今と昔では全く変わりました。傷は湿潤環境の方が早く治るという研究結果が出ており、乾燥させてしまうとかえって治りにくいというのが、現在の傷に対する考え方です。
傷の治療後14日目
ガーゼだけの治療 湿潤治療
少し湿り気のある傷の環境(=湿潤環境)では酵素、増殖因子などが早く成長します。また傷から自然に出ている液には外からのバクテリアを殺す機能のある細胞も含まれています。
これらの細胞に湿潤環境で最大限働いてもらおう、と言う考え方です。
近年ではバンドエイドも湿潤環境を保つよう考えられた製品が出ています。
しかし、湿潤環境の加減というのは複雑な傷の場合、大変難しいということもわかっています。つまり湿りすぎず、乾燥しすぎずという微妙な加減のことです。
 
陰圧持続吸引 ブリッジ(橋かけ)法
陰圧持続吸引は肉芽の増殖を促進させる治療として大変優れたものです。
複数の創傷がある場合、どのように陰圧吸引をかければ良いのか、そのテクニックをご紹介します。
陰圧持続吸引の適用
・ 急性・慢性創傷
・ 糖尿病性足創傷
・ オペ後、植皮・皮弁後
・ 褥瘡、その他
・ 感染している創傷の治療も可能
要注意
・ 出血が激しい場合
・ 創傷内の悪性主要
・ 胃腸などの内蔵が露出している場合
・ 創傷が完全に乾燥している場合
ブリッジ法 ステップ1
・ 多数の創傷がある場合
・ 創傷の間をフィルムで覆う(皮膚のふやけ防止)
・ スポンジを創傷とその間に「橋かけ」の様におく
・ スポンジ中央にチューブを挿入し、フィルムで固定
・ 吸引を開始
 
参考写真:KCI 社V.A.C.システム
 
 

 

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東葛クリニック 千葉県松戸市樋野口865-2 047-364-5121 https://www.tokatsu-clinic.jp/